- 少額で買える区分と、大きく稼げる一棟、どちらから始めればいいのか決められない
- 一棟は金額が大きくて怖い。でも、区分は儲からないとも聞く
- 本音を言えば、失敗して数千万円の借金を背負うのが一番怖い
不動産投資を始めようとすると、多くの人が区分と一棟のどちらにするかで足踏みします。「不動産投資 区分 一棟 どっち」と検索して、業者ごとに言うことが違うので、余計に迷った人もいるはずです。
ただ、迷っている間にも年齢は上がり、ローンを組める期間は短くなっていきます。区分か一棟かは、業者の都合ではない判断の軸で決められます。
結論から言うと、きちんと勉強してから、一棟を買う。これが今の私の答えです。最初にローンを組んで買うなら、区分ではなく一棟を選んでください。
私は地方在住・大家歴13年の現役サラリーマン大家です。3棟38室を運営し、いま手元に残る税引前キャッシュフローは月30万円。これを5年間継続できています。
区分と一棟の両方を持っていて、始めたころは、きちんと勉強しないまま区分のワンルームを買って損をしました。両方を持った今だから、はっきり一棟と言えるのです。
本文で紹介するのは、最初の一棟を買う前に確かめる4つのことです。この4つを確かめれば、区分と一棟で迷う時間がなくなり、最初の1件を、毎月の手残りが残る形で選べます。
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区分と一棟の違いを7つの点で比べる

区分は少ないお金で始めやすい一方、毎月の手残り・空室・自分で決める力・売るときの値段・節税の5つで、一棟が有利です。その代わり、一棟は買値が大きく、大きな修繕の費用も自分で出すことになります。
区分は、マンションの1室を買って貸す方法です。部屋の中のことは自分で決められますが、外壁や屋上、エレベーターなど建物全体のことは、ほかの部屋の持ち主と一緒に管理組合で決めます。
一棟は、アパートやマンションを建物ごと、土地ごと買う方法です。建物全体が自分のものなので、管理も修繕も自分で決められるのが特徴です。
| 比べる点 | 区分 | 一棟 |
|---|---|---|
| 買値と自己資金 | 数百万円から買える。現金で買える物件もある | 数千万円から億単位。ローンが前提 |
| 毎月の手残り | 1室分の家賃から返済・管理費・修繕積立金を引くので、少ないかマイナスになりやすい | 部屋数の家賃が入るので、うまく回れば手残りが大きい |
| 空室 | 1室が空くと、家賃がゼロになる | 何室か空いても、ほかの部屋の家賃が入る |
| 修繕と決める力 | 管理費と修繕積立金を毎月払う。値上げや大規模修繕は管理組合が決める | 修繕・家賃・管理会社を自分で決められる。大きな修繕の費用も自分で出す |
| 売るときの値段 | 土地の持ち分が小さく、建物が古くなるほど値段が下がりやすい | 土地が付いているので、建物が古くなっても土地の値段が残る |
| 融資(ローン) | 金額が小さいので借りやすい | 審査は厳しいが、会社員の与信を大きく使える |
| 節税の効果 | 鉄筋コンクリートは47年かけて償却するので、毎年の経費が小さい | 中古の木造なら短い年数で大きく償却できる。規模が大きくなれば使える制度も増える |

表だけ見ると、一棟のほうが良さそうですよね。でも一棟には、一棟の怖さもあります。それも後の章で正直に書きました。
では、7つの点を1つずつ見ていきましょう。
買値と自己資金:区分が有利
区分は数百万円から売られていて、手持ちの現金(自己資金)で買える物件もあるほどです。現金で買った小さな物件なら、失敗しても生活が揺らぐほどの傷にはなりません。一棟は数千万円から億単位なので、ローンを組むのが前提です。
毎月の手残り:一棟が有利
区分は、1室分の家賃からローンの返済、管理費、修繕積立金を引くので、手元に残るお金は少ないか、マイナスになりがちです。一棟は部屋の数だけ家賃が入るので、うまく回れば手残りは大きくなります。
空室:一棟が有利
区分は、その1室が空けば家賃はゼロです。それでもローンや管理費の支払いは続くので、給料から埋めるしかありません。一棟なら、たとえば10室のうち2室が空いても、残りの8室分の家賃は入ってきます。
修繕と決める力:一棟が有利
区分は、修繕積立金の値上げや大規模修繕を、管理組合の話し合いで決めるので、自分ひとりでは決められません。
一棟は、いつ、どこを、いくらで直すかを自分で決められます。そのぶん、建物の維持にかかるお金はすべて自分持ちです。
売るときの値段:一棟が有利
区分は土地の持ち分がわずかで、建物は年がたつほど値段が下がるので、売るときの値段も下がりやすくなります。
一棟には、まとまった土地が付いてきます。建物が古くなっても土地の値段は残るので、売るときの値段が下がりにくいのが強みです。
融資(ローン):一棟が有利
区分は金額が小さいので、融資は通りやすいです。一棟は審査が厳しいものの、会社員には銀行がお金を貸してくれる信用、つまり与信があります。
この与信を使えば、利益を生む良い借金を作れます。その仕組みは、なぜ銀行は会社員に数千万円を貸すのかで書きました。
節税の効果:一棟が有利
建物の値段は、毎年少しずつ経費にできます。これが減価償却です。
区分に多い鉄筋コンクリートは47年かけて経費にするので、1年あたりの金額は小さめ。中古の木造一棟なら短い年数で経費にできるので、その期間は節税の効果が大きくなります。
こうして並べると、区分が有利なのは買値の小ささだけです。では、なぜ私は、買値が大きく審査も厳しい一棟を、初心者にこそ勧めるのか。理由は5つあります。
初心者にこそ一棟を勧める5つの理由

初心者ほど、1室の空室や管理組合の決定に振り回される区分より、自分で決められて、手残りと売値が残りやすい一棟が向いています。ただし、勉強してから買うことが前提です。
理由① 空室が出ても、家賃がゼロにならない
区分は1室なので、空けば家賃はゼロです。家賃がなくても、ローンの返済や管理費、修繕積立金は毎月出ていきます。
私の甲府の一棟マンション(18室)では、買った翌月に5部屋が一度に退去しました。家賃を4〜5万円から2万円台後半まで下げることになりましたが、残りの13室分の家賃は入り続けました。その間に近くの外国人向けの専門学校へ直接営業して、空いた部屋を埋めています。
理由② 大事なことを自分で決められる
区分は、管理費や修繕積立金の値上げ、大規模修繕の計画を管理組合で決めるので、自分ひとりでは動かせません。一棟なら、家賃も、修繕の時期も、管理会社も自分で決められます。
私は松本の一棟アパート(10室)で、管理会社選びに失敗しました。最初の半年は空室率40%で、給料から赤字を埋める日々です。
それでも一棟だったので、立て直す手を自分の判断で打てました。決める力が大きいぶん、結果の責任も自分で負います。
理由③ 土地が付いてくるので、売るときの値段が残りやすい
不動産投資の損得は、家賃+売値-経費>買値の式で決まります。区分と一棟の差がいちばん大きく出るのが、この式の売値です。
私の区分は、地元のワンルームを買値の2割で手放しました。尼崎のワンルームも、満足できる値段では売れていません。建物が古くなっても土地の値段が残る一棟は、区分より売るときの値段が残りやすいと、実際に売って感じています。
理由④ 会社員の与信を使って、手残りの規模を作れる
区分1室の手残りは小さく、尼崎のワンルームのようにマイナスのこともあります。私はいま、松本・甲府・仙台の一棟3棟を含む38室を運営していて、手元に残るお金は月30万円、年にすると360万円です。
給与と合わせると、平社員の私が、部長の給与を超えています。会社員・公務員の与信は、家賃が入っていても売るときに損が出る悪い借金ではなく、手残りの規模を作る良い借金に使ってこそ意味があります。
理由⑤ 節税の効果も大きい
区分に多い鉄筋コンクリートは、法定耐用年数が47年です。47年かけて経費にするので、毎年の経費は小さくなります。中古の木造一棟なら、法定耐用年数を過ぎた物件は4年で償却できるので、その間は大きな金額を経費にできます。
さらに、貸している規模が大きくなると、使える制度が増えます。目安は、独立した家屋なら5棟以上、アパートなどの部屋なら10室以上の事業的規模です。
この規模になると、青色申告の特別控除の最大額(いまは65万円。2027年分から見直しが決まっています)や、家族に払う給与を経費にする制度が使えます。区分を1〜2室持つだけでは、この規模には届きません。
節税はおまけです。中古の木造一棟も、償却が終わると経費が消えて税金が増え(デッドクロス)、減らした税金の多くは売るときに払い直します。節税を外しても家賃+売値-経費>買値の式が成り立つ物件を選んでください。仕組みは不動産投資の節税は嘘?に書きました。

私は勉強しないまま区分を買って、遠回りしました。最初から勉強して一棟を買っていれば、もっと早くいまの状態になれたはずです。
一棟の弱点と、その備え方

一棟の弱点は3つです。失敗したときの金額が大きいこと、大きな修繕が突然来ること、融資の審査が厳しいこと。どれも、買う前の勉強と手元のお金で備えられます。
失敗したときの金額が大きい
一棟は買値が数千万円から億単位なので、失敗したときの金額も大きくなります。現金で買った小さな区分なら傷は小さく済みますが、一棟はローンが前提です。失敗すれば、数千万円の借金が残ることになります。
備えは、買う前の計算です。式で買値が高すぎないかを確かめ、空室が増える、金利が上がる、という悪いほうの見通しでも、毎月の手残りがマイナスにならないかを計算してから買ってください。見通しの作り方は3シナリオ計算|悲観でも回るかだけを見るにまとめました。
大きな修繕が突然来る
一棟は建物の維持費をすべて自分で出すので、数百万円の修繕が突然必要になることも。私の場合、水をためる受水槽の交換だけで、松本で約150万円、甲府で約200万円かかりました。甲府の約200万円は、いまの手残り(月30万円)のおよそ7か月分です。
備えは、修繕用のお金を手元に残しておくことです。入ってきた家賃をすぐに使わず、修繕の分を見込んで残しておけば、突然の出費にも慌てずに済みます。
融資の審査が厳しい
金額が大きいので、銀行の審査は厳しめです。銀行は、勤め先・勤続年数・年収などから、会社員としての与信を見ます。
ただ、審査に通ればいいわけではありません。家賃のうちローンの返済に回る割合を返済比率と言い、これに余裕のある計画にすることが大切です。
私の3棟は、当初の借入が約2億500万円、いまの残りが約1億5,400万円で、返済比率は59%。これは余裕のある水準ではありません。高すぎると、少しの空室や金利の上昇で、収支がマイナスに転じます。
区分と一棟、両方を持った私の実録

始めたころの私は、きちんと勉強しないまま区分を買いました。最初の1件は、地元の大学の近くの学生向けワンルームです。
約200万円の現金で買った直後、3点ユニットバスのままでは学生に敬遠されると管理会社に言われ、60万円をかけてバスとトイレを分けました。この部屋は2025年に、買値の2割の約40万円で手放しています。
尼崎のワンルームは、13年前に営業の「節税になりますよ」の一言で、約870万円のローンを組んで買いました。いまもローンが約400万円残っていて、この物件だけで見ると毎月の収支はマイナスです。
そのあと、スルガ銀行のフルローンで松本の一棟アパートを買い、一棟を3棟まで増やして、ようやく手元に残るお金が月30万円になりました。
現金で買った小さな区分は、失敗しても傷は小さく済みます。ただ、手残りも小さく、売るときの値段も残りませんでした。
ローンで買った尼崎の区分は、節税を外すとマイナスです。手残りの規模ができたのは、一棟を買ってからでした。
同じ遠回りをしないために、最初の1件を買う前に勉強の時間をとってください。家賃+売値-経費>買値の式で物件を判定できるようになってから、一棟を買うことを勧めます。
一棟が向いている人・区分が向いている人

ここまでの経験をもとに、どちらがどんな人に向いているかを分けると、次のとおりです。
一棟が向いている人
- 会社員・公務員の与信を使って、手残りの規模を作りたい人
- 買う前に勉強して、式と悪いほうの見通しで物件を判定できる人
- 大きな修繕に備えて、手元にお金を残せる人
区分が向いている人
- ローンを組まずに、手持ちの現金で小さく試したい人
- 空室で家賃がゼロになっても、生活に困らない手元のお金がある人
- 手残りの大きさより、管理組合に任せる手軽さを優先したい人
ただし、ローンを組んで買う区分、とくに新築ワンルームは、初心者に一番勧めません。理由は新築ワンルーム投資が儲からない3つの理由に書いています。
最初の一棟を買う前に確かめる4つのこと

最初の一棟を買う前に、次の4つを自分で確かめてください。
①家賃+売値-経費>買値の式で、買値が高すぎないか
損得は毎月の家賃だけでなく、売るときの値段まで入れて決まります。10年後に売る値段まで入れて計算し、式が成り立てば、売ったときに借金だけが残る事態を防げます。物件の判定のしかたは物件をどう判定するかにまとめました。
②悪いほうの見通しでも、毎月の手残りがマイナスにならないか
家賃が下がる、空室が増える、金利が上がる。長く持てば、どれも起こります。買う前に悪い条件を重ねて計算し直し、それでも手残りがマイナスにならなければ、給料から赤字を埋める事態は避けられます。
③大きな修繕に備えた手元のお金があるか
一棟は、数百万円の修繕が突然来るもの。受水槽の交換だけで150万〜200万円かかったので、家賃をすぐに使わず、修繕の分を手元に残せるかを確かめてください。
④返済比率に余裕があるか
返済比率が高いと、少し空室が出ただけで手残りがなくなります。私の3棟は59%%で、余裕のある水準ではありません。
これより低い計画を立てることが、長く続けるうえで大切です。安全ラインの考え方は返済比率・DSCRとはで書きました。
勉強してから買う|セミナーの使い方

私は始めたころ、勉強しないままワンルームを買って損をしました。同じ失敗をしてほしくないので、物件を買う前に、きちんと勉強してください。
勉強の場の一つが、無料の不動産投資セミナーです。一棟投資を中心に学べるセミナーもあります。セミナーは判断の材料を集める場で、その場で物件を契約する場ではありません。
話を聞くだけならお金はかからないので、上の4つを確かめるつもりで参加し、答えを持ち帰って自分で判定してください。
私が内容を確かめた神・大家さん倶楽部のセミナーについては、神・大家さん倶楽部の評判・口コミに書いています。セミナー全体の比べ方は、不動産投資セミナーおすすめランキングにまとめました。

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よくある質問

- Q一棟買いのメリットは何ですか?
- A
修繕や家賃を自分で決められること、土地が付くので売るときの値段が残りやすいことです。会社員の与信を使って、手残りの規模を作れることも大きなメリットです。
- Q一棟と区分では、節税の効果はどれくらい違いますか?
- A
区分に多い鉄筋コンクリートは47年かけて経費にするので、毎年の効果は小さくなります。中古の木造一棟は短い年数で大きく経費にでき、5棟10室の規模になれば青色申告の控除なども使えます。
- Q区分マンション投資は、なぜ儲からないと言われるのですか?
- A
1室分の家賃から返済・管理費・修繕積立金を引くので、手残りが小さく、マイナスになりやすいからです。建物が古くなると、売るときの値段も下がりやすくなります。
- Q区分から始めて、あとから一棟を買い増すのはどうですか?
- A
最初の区分でローンを組むと、その借入も次の審査で見られます。その区分が式を満たさない悪い借金なら、一棟を買うための融資は通りにくくなるのが実情です。
- Q一棟目は、いくらくらいの物件から始めればいいですか?
- A
金額の決まりはありません。家賃+売値-経費>買値の式が成り立つか、買う前に確かめる4つのことを満たしているかで判断してください。
まとめ|勉強してから、最初の一棟を買う

- 区分は、1室が空くと家賃がゼロになり、毎月の手残りも小さい
- 一棟は、修繕や家賃を自分で決められ、売るときの値段が残りやすく、節税の効果も大きい
- 初心者がローンを組んで始めるなら、区分ではなく一棟
- 買う前に、式で買値を判定し、悪いほうの見通しでも回るかを計算し、修繕のお金を手元に残す
- 勉強してから買う。セミナーは判断の材料を集める場
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