PR

築古アパート投資のリスクと失敗しない選び方|チェックリスト10項目

【STEP2】買う

「築古アパート、表面利回り10%超え」——この数字に心が躍る気持ち、痛いほど分かります。新築が6〜8%であることを考えれば、魅力的に見えますよね。

でも先に結論を言います。その高い利回りは「リスクの価格」です。誰かがリスクを抱えているから高い。そしてリスクを把握しないまま利回りだけで飛びつくと、その”誰か”はあなたになります

私は13年間、松本・甲府・仙台の築古物件を回してきました。そして利回り10%に釣られて即決し、痛い目を見た張本人です。この記事では、私の失敗も晒しながら、築古で失敗しないための選び方を、購入前チェックリスト10項目まで落とし込んで解説します。

築古は「正しく選べば」高利回りを実現できます。問題は”正しく選ぶ”方法を誰も教えてくれないことです。私の失敗を、あなたの予習に使ってください

【実録】私は甲府で、利回り10%に釣られて即決した

甲府市の物件を見た瞬間のことは、今でも覚えています。「表面利回り10%超え、5階建て18部屋、駅徒歩15分、外観もおしゃれ」——条件に心が躍り、ほぼ即決に近い形で飛びついてしまいました

結果はどうだったか。購入した翌月に、いきなり5部屋が一斉退去しました。表面利回りは「満室だったら」の数字にすぎません。空室が出た瞬間、実質のキャッシュフローは想定よりはるかに厳しくなる。高利回りの裏には、必ず「なぜ安いのか」という理由があります

あのとき私に足りなかったのは、買う前に”確認する”という一手間でした。だからこそ、これから買う人には同じ轍を踏んでほしくない。

築古アパートに潜む「5つのリスク」

築古が高利回りを提示できるのは、次に挙げるリスクを価格に織り込んでいるからです。

リスクの種類具体的な内容
突発的な大規模修繕給排水管・貯水タンク・外壁・屋根など
空室リスク築年数が増すほど入居付けが難しくなる
家賃下落リスク競合物件との比較で値下げを迫られる
構造的欠陥雨漏り・傾き・シロアリなど、見えないリスク
融資条件の悪化築古ほど金利が高く、融資期間も短くなる

この中で特に効いてくるのが突発的な大規模修繕です。私は給排水管やタンクの交換で数百万円が一度に飛ぶ経験を何度もしました。築古は「買った後にお金がかかる」前提で、手元資金を厚く持って臨んでください。修繕費の目安はこちらにまとめています。

給湯器の交換費用の相場と大家負担のルール|賃貸アパートの修繕積立
賃貸の給湯器交換費用は工賃込み10〜25万円。自然故障は大家負担が原則です。13年大家が、費用相場・負担のルール・業者の選び方・修繕費の積立まで、設備で銀行に頭を下げた実体験を交えて解説します。

中古一棟 vs 新築一棟——あなたはどちらが向いているか

「そもそも築古(中古)で合っているのか」を、新築一棟と冷静に比べておきましょう。どちらが良い・悪いではなく、自分のリスク許容度に合うかで選ぶのが正解です。

比較項目中古一棟新築一棟
表面利回り高い(10%超えも)低め(6〜8%)
修繕リスク高い低い(当初10年)
入居付けのしやすさ築年数次第比較的容易
融資条件厳しい(高金利・短期)有利(低金利・長期)
経験値の蓄積速い(トラブル多め)ゆっくり
向いている人リスク許容度が高い人・勉強熱心な人安定志向・初期の安心感を重視する人

中古一棟はリスク許容度が高く、勉強熱心な人向き。新築一棟は安定志向で初期の安心感を重視する人向きです。どちらを選ぶにせよ、大事なのは感覚ではなく”入居率などの数字”で物件を選ぶこと

【保存版】築古物件・購入前チェックリスト10項目

「築古は失敗する」と一概には言えません。正しく選べば高利回りは実現できます。私が痛い目を見て学んだ、購入前に必ず確認すべき10項目です。

  1. 構造:木造(耐用22年)・軽量鉄骨・RC造(47年)の別。融資評価に直結する
  2. 築年数と法定耐用年数:耐用年数超えは融資が付きにくい。現金or政府系融資が現実的
  3. 屋根・外壁の状態:雨漏り歴・外壁クラック。インスペクション(建物状況調査)必須
  4. 配管・設備:給排水管の素材(鉄管は錆)・給湯器・電気容量を確認
  5. 耐震基準:1981年6月以降の新耐震か。旧耐震は評価が下がる
  6. 登記・権利関係:抵当権・仮登記・借地権の有無を登記簿で確認
  7. 賃借人の状況:現入居者の賃料・契約・滞納歴。「格安賃料固定」の満室に注意
  8. 修繕履歴:屋根・外壁・配管の大規模修繕の時期と費用
  9. エリアの賃貸需要:周辺の空室率・競合賃料・人口動態
  10. 積算評価(担保評価):金融機関の積算価格が売値を下回っていないか

この10項目、地味に思えるかもしれません。ですが、私が甲府で確認をサボった項目が、そのまま損失になりました。1項目ずつ潰すだけで、失敗の芽はほとんど摘めます。

特に築古は「レントロール(家賃表)」を鵜呑みにしないこと。満室に見えても、相場より高い賃料で無理に埋めていたり、退去予定が隠れていたりします。

築古で高利回りを”活かす”には——空室対策とセットで

リスクを避けるだけでは、築古の高利回りは活きません。選んだ後に「空室を埋め切る」戦略があって初めて、数字が現実になります。私が甲府や尼崎で実践した「新築に勝つための”ずらし”の空室戦略」は、こちらで詳しく解説しています。

築古アパートは新築に勝てる|家賃を下げず満室を保つ「ずらし」戦略
築古アパートは新築と同じ土俵(スペック・家賃)で戦うと必ず負けます。13年築古を運営する大家が、家賃値下げが最悪手である理由と、安さ・広さ・ペット可など築古の武器でターゲットをずらし、満室を保つ実践戦略を解説します。

設備の寿命管理(特に給湯器)も、突発出費を防ぐ鍵です。

給湯器の寿命と交換時期の見極め方|前兆サインと大家の設備管理術
給湯器の寿命は10〜15年。お湯がぬるい・エラー頻発は交換のサインです。設備が一斉に壊れる仕組みと、壊れる前に動くための「製造年台帳」を、故障連発に追われた13年大家が解説します。

よくある質問

38室を経営する現役大家
Q
中古アパートの修繕費は、年間どのくらい見込んでおけばいいですか?
A

最低でも年間家賃収入の10〜15%を修繕積立として見込んでおくことを推奨します。築20年以上の物件であれば、それ以上を想定しておくべきです。

ただし、これはあくまで「平均的な目安」です。私が経験したように、貯水タンクの全交換(150万円)や給排水管まわりのトラブル(200万円)など大規模修繕は、予告なく突然発生します。

重要なのは「毎月の収支計算に修繕費を織り込んでいるか」ではなく、「突発的な出費が発生したとき、キャッシュが底をつかないか」という手元資金の余裕です。 購入時に「最低でも物件価格の5〜10%相当の手元現金」が残る状態でなければ、買い時ではないと考えてください。

Q
レントロール(家賃表)のどこを見れば、「怪しい物件」を見抜けますか?
A

特に注意すべき「危険なサイン」は以下の4つです。

  • 全室の入居開始日が直近の同じ時期に集中している → 売却前に一時的に入居させた「見せかけ満室」の可能性
  • 周辺相場より明らかに高い家賃が設定されている → 実態とかけ離れた数字で利回りを高く見せている可能性
  • 店舗・看板・倉庫など居住用以外の収益が含まれている → 住居より入居難易度が格段に高く、長期空室になりやすい
  • 空室区画の家賃が「想定家賃」として計上されている → 現実にはゼロ収入なのに、満室想定で利回りが計算されている

私が甲府市の物件で経験したのは、まさに3番目のケースです。店舗・看板合わせて月14万円がレントロールに載っていましたが、購入時点では両方とも未契約。「1年で決まる」という業者の言葉を信じた結果、実際に決まるまで5年以上かかり、しかも想定の半額以下の家賃でした。

レントロールは「現在の現実」だけでなく、「将来の実現可能性」まで自分で検証する姿勢が不可欠です。

Q
インスペクション(建物調査)は、必ず実施すべきですか?費用はどのくらいかかりますか?
A

一棟物件の購入においては、必須と考えてください。

費用は物件規模にもよりますが、一棟アパートで概ね5万〜15万円前後が相場です。この金額を「高い」と感じる方もいるかもしれませんが、発想を逆転させてください。数千万〜1億円規模の買い物に対して、たった10万円前後で「隠れた欠陥の有無」を確認できる手段が存在するのです。

インスペクションの結果、問題が発見されれば「値引き交渉の根拠」になります。問題がなければ「安心して購入できる根拠」になります。どちらに転んでも、あなたにとってプラスしかありません。

インスペクションを嫌がる、または「不要です」と言う売主・業者がいたとしたら、それ自体が最大の警戒サインです。 正直な売主であれば、建物の状態を第三者に確認されることを恐れる理由がありません。

この記事の判断基準は、当ブログの土台である不動産投資の真実(家賃+売値-経費>買値)に基づいています。まだ読んでいない方は、先にそちらから読むことをおすすめします。

チェックリストに足りない、11個目の項目——「10年後、誰が買うか」

不動産投資の真実で書いた式に戻ります。家賃+売値-経費>買値。築古物件で一番見落とされがちなのは、売却額の項です。高利回りに気を取られているうちに、出口の買い手がいなくなっていることがあります。

再建築不可、極端な狭小、人口減少が進むエリア。こうした条件は、家賃を下げてでも入居付けはできても、次に買ってくれる投資家や実需の買い手が現れにくくなります。売却額の項がゼロに近づけば、保有中にどれだけ家賃を稼いでも、式全体としては成立しない可能性が高くなります。

先ほどのチェックリスト10項目に加えて、契約前にもう一つだけ自問してください。「この物件を、自分が今と同じ条件で今日売りに出したら、10年後に本当に買い手がつくか」。答えに自信が持てない物件は、どれだけ利回りが高くても、式の売却額の項が抜け落ちたまま契約することになります。

まとめ——築古は「確認」で9割の失敗を防げる

  • 高利回りは「リスクの価格」。なぜ安いのかを必ず確認する
  • 表面利回りは「満室なら」の数字。私は甲府で即決し翌月5部屋退去した
  • 購入前チェックリスト10項目を1つずつ潰す。特に構造・耐震・配管・レントロール
  • 選んだ後は空室対策(623)とセットで、はじめて高利回りが活きる

築古は怖い、のではありません。確認せずに買うのが怖いのです。逆に言えば、確認さえすれば築古は普通の人が高利回りを狙える数少ない道です。私の失敗を踏み台にしてください。

元の記事に戻る

ここで見た数字を、収支計算の基本に当てはめて検算しましょう。

👉 不動産投資のキャッシュフロー計算方法|実質利回り・NOI・手残りを出す5ステップを読む

コメント

タイトルとURLをコピーしました