- 周りの大家が家賃を上げていると聞いて、自分も上げるべきか迷っている
- 値上げを切り出したら、入居者が出ていかないか心配
- 家賃を上げたら、結局いくら得をするのか分からない
全国賃貸住宅新聞が9月28日に掲載した調査で、2026年に管理物件で家賃を改定した管理会社は87.4%でした。上げ幅は3〜4%が最も多く、きっかけの9割超はオーナーからの要望です。
「みんな上げているなら、うちも」と思いますよね。ただ、値上げには裏側があります。値上げをきっかけに入居者が1人退去すると、値上げで増えた分の何年分もが一度に消えます。
私は地方在住・大家歴13年の現役サラリーマン大家です。3棟38室を運営しています。
いま手元に残る税引前キャッシュフロー(家賃からローン返済や経費を引いて残るお金)は月30万円。これを5年間継続できています。
この記事では、家賃改定の調査の中身と、値上げの前に大家が計算しておく損益分岐を、具体的な金額で示します。読み終えるころには、自分の部屋を値上げすべきか、待つべきかを判断できるようになります。
結論から言うと、値上げは「上げられるか」ではなく「上げても出ていかれないか」で決めるものです。相場との差が大きい部屋から、更新のタイミングで話し合うのが基本です。
家賃の相場や収支の前提は、実際の物件資料で比べると判断しやすくなります。私も以前取り寄せましたが、物件選びの考え方が図でまとまっていて、有料でもおかしくない内容でした。
※ 資料請求は無料です
管理会社の87%が家賃を改定|調査でわかったこと

全国賃貸住宅新聞は、6月30日から9月3日にかけて、全国のオーナーと賃貸管理会社に調査を行いました。回答は353件で、そのうち管理会社が190件です(全国賃貸住宅新聞の記事)。
- 2026年に管理物件で家賃を改定した管理会社:87.4%
- 上げ幅は3〜4%が最も多い
- 改定のきっかけは、オーナーからの要望が9割超
- 回答した管理会社の地域は、1都3県が55.1%
首都圏の回答が半分を超えているので、地方の物件にそのまま当てはまるわけではありません。それでも、「家賃は年々下がるもの」という長年の常識は、変わり始めています。
募集に出ている部屋の家賃が上がっていることは、募集家賃のコラムで書きました。今回の調査は、すでに住んでいる入居者の家賃を上げる話です。
値上げで1人退去すると、何年分が消えるか

家賃5万円の部屋で、3.5%の値上げに合意してもらえたとします。増えるのは月1,750円、1年で21,000円です。
一方で、値上げをきっかけに入居者が退去すると、次の入居者が決まるまでに、たとえば次の費用がかかります。
- 空室2か月分の家賃:10万円
- 広告料(家賃1か月分):5万円
- 原状回復のうち大家の負担:5万円
合計で20万円。値上げで増える年21,000円の、約9.5年分です。
金額は一例です。広告料の月数や空室の期間は、地域と時期で大きく変わります。自分の部屋の家賃と、管理会社の広告料の条件を当てはめて、同じ計算を1回だけしてみてください。
もちろん、退去のあとに値上げした家賃で次の入居者が決まれば、取り戻せる部分もあります。ただ、1件の退去で何年分もの値上げが消えることを知ったうえで切り出すのと、知らずに切り出すのとでは、話し合いの進め方が変わります。
値上げしてよい部屋、待ったほうがよい部屋

値上げを話し合うかどうかは、部屋ごとに決めます。目安は次のとおりです。
値上げを話し合いやすい部屋
- 今の家賃が、周りの募集家賃よりはっきり安い
- 更新が近く、話し合いの場を作りやすい
- 周りに、同じ条件の空室が少ない
値上げを急がないほうがよい部屋
- 周りに、同じ条件で家賃の安い空室が多い
- 入居期間が長く、退去すると原状回復の費用が大きくなりそう
- 相場との差がわずかで、値上げ額が小さい
値上げは、入居者に合意してもらうのが基本です。話し合いがまとまらなければ、借地借家法にもとづく調停などに進むことになり、時間も手間もかかります。断られたときの考え方は、家賃の値上げは拒否できるかの記事で解説しています。
大家が今やる3つのこと

①自分の部屋の家賃と、周りの募集家賃を並べる
SUUMOやHOME’Sで、同じ駅・同じ広さ・同じくらいの築年数の募集家賃を5件ほど並べます。今の家賃との差が、値上げを話し合えるかどうかの出発点です。
②値上げで増える額と、退去したときの費用を並べる
上で示した計算を、自分の部屋の数値でやり直します。退去1件の費用が、値上げ何年分になるかが分かれば、どの部屋から話し合うかの順番が決まります。
③話し合うなら、更新の前に資料をそろえて伝える
「周りが上げているから」だけでは、入居者は納得しません。①で並べた募集家賃を資料にして、更新の案内とあわせて伝えます。伝え方の具体例は、募集家賃のコラムの「大家が今やる3つのこと」にまとめています。

家賃を上げるのは攻めの一手です。ただ、空室は値上げ分をあっという間に食べてしまいます。上げる前に、出ていかれたときの数値を1回だけ計算してください。
まとめ|値上げは「出ていかれないか」で決める

- 2026年に家賃を改定した管理会社は87.4%。上げ幅は3〜4%が最多
- 家賃5万円・3.5%の値上げなら、増えるのは年21,000円
- 退去1件で20万円かかれば、値上げの約9.5年分が消える
- 値上げは、相場との差が大きい部屋から、更新の前に資料をそろえて話し合う
家賃が上がる時代は、大家にとって追い風です。ただ、追い風の中でも空室は最大の損失です。値上げは「上げられるか」ではなく、「上げても出ていかれないか」で決めてください。
これから物件を買う人は、収支表の家賃が相場より高く置かれていないかも確かめておく必要があります。家賃の相場や収支の前提を、実際の物件資料で比べてみたい人は、JPリターンズの無料資料が手軽です。私も2026年5月に同社の面談を受けました(JPリターンズの面談の記録)。
資料請求のあとに担当者から連絡が来ますが、「連絡はメールで」と最初に伝えれば、自分のペースで進められます。面談を受けるかどうかも自分で決められ、しつこい勧誘が気になるなら断れます。
※ 資料請求は無料です
あわせて読みたい記事です。

コメント