- 「みんなで大家さん」が許可取消しになったと聞いたが、何が起きたのかわからない
- 出資したお金は返ってくるのか不安
- 利回りの高い不動産の商品は、結局どれも危ないのか知りたい
2026年9月1日、大阪府と東京都が「みんなで大家さん」の運営会社と販売会社に、「この事業を続けてはいけない」という処分(事業許可の取消し)を出しました。ところが、ニュースの見出しを追うだけでは、なぜ年7%前後の利回りが続かなかったのかがわかりません。見出しだけで判断すると、似た商品が来たときに同じ失敗をします。
私は地方在住・大家歴13年の現役サラリーマン大家です。3棟38室を運営しています。
いま手元に残る税引前キャッシュフロー(家賃からローン返済や経費を引いて残るお金)は月30万円。これを5年間継続できています。
この記事では、処分の中身を公表された事実で整理し、その利回りがどこから出ていたのかを、実際に物件を持つ大家の目で分解しました。読み終えるころには、利回りの高い商品を見たときに何を確かめればいいかがわかります。
年7%前後の利回りの土台になるはずの家賃は、実際には回収できていなかったと行政が認定しました。
家賃の実績で説明できない利回りには、お金を出さない。これが今回のニュースから持ち帰る教訓です。
利回りの根拠を自分で確かめるには、実際に物件を扱っている会社の資料を読んでみるのが近道です。私も以前取り寄せましたが、物件選びの考え方が図でまとまっていて、有料でもおかしくない内容でした。
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みんなで大家さんの許可取消しで何が起きたのか

処分は2つです。内容は次のとおりです。
| 項目 | 大阪府 | 東京都 |
|---|---|---|
| 処分を受けた会社 | 都市綜研インベストファンド(運営会社) | みんなで大家さん販売(販売会社) |
| 処分の内容 | 事業許可の取消し(この事業を続けられなくなる) | 事業許可の取消し(この事業を続けられなくなる) |
| 主な理由 | 大きな債務超過、出資金を返す約束の遅れなど | 運営会社の状況を十分に調べないまま販売し、出資者に必要な説明をしなかったこと |
もとになった法律は、不動産特定共同事業法です。みんなでお金を出し合って不動産を運用する事業のルールで、この事業には許可が必要です。
許可を取り消された会社は、5年間は許可を取り直せません。時事通信は、家賃を回収できていない事実や、2026年3月期の約2,881億円の債務超過を隠したまま出資を集めていたと報じています(時事通信)。
楽待新聞の報道では、出資したのはのべ7万人以上、金額は2,000億円超です。
約束の期日を過ぎてもお金が返ってきていないのは、のべ7,511人・約188億円。これに対して、会社の手元にある現金は約9,241万円と伝えられています(楽待新聞)。期日を過ぎた約188億円に対して、およそ0.5%しかありません。
会社側は、処分を重く受け止めて謝罪する一方で、行政の認定を「全てをそのまま認めているものではない」としています。新しい募集は再開せず、今ある契約の業務を終えるまで続けるとしています(会社の見解)。
この仕組みを、学校の文化祭の模擬店にたとえてみます。たくさんの人が「参加費」を出し合って店を開き、売上から「毎年7%の配当」を受け取る約束です。参加費が出資、売上が家賃、配当が分配金にあたります。
今回、行政は「実際には売上(家賃)がきちんと入っていないのに、それを隠して新しい参加者を集めていた」と認めました。そして店の持ち物を全部売っても、借りたお金を返しきれない。これが債務超過です。
年7%の利回りはどこから出ていたのか

主力の「成田シリーズ」は、1口100万円・想定利回り年7%で出資を集めていました(日本経済新聞)。100万円を出すと、毎年7万円もらえる計算です。不動産の利回りは、本来は次の式で説明できます。
家賃+売値-経費>買値
家賃は毎月入るお金、売値は最後に売るときの値段、経費は管理や修理にかかるお金、買値は買ったときの値段です。毎年の分配金の元になるのは、左側の「家賃」です。
ところが行政は、分配の土台になるはずの賃料が回収できていないのに、その事実を伏せて募集していたと認定しました。家賃が入っていなければ、年7%を払い続ける元手はありません。式の左側が、最初から崩れていたことになります。
さらに2025年12月には、投資先の土地が、実際の相場を大きく上回る値段で評価されていた疑いも報じられました。式の右側の「買値」にあたる財産の値打ちそのものが、ふくらんでいた可能性があります。くわしい経緯はかぼちゃの馬車とみんなで大家さんの違いで整理しています。
たとえるなら、100円で買えるカードに「これは1万円の価値がある」と値札をつけて、その値札を根拠にお金を集めるようなものです。値札が本当の値打ちとかけ離れていれば、いざ売ってお金に換えようとしても、約束したお金は用意できません。
現役大家の見立て|家賃は毎年ぶれるもの

「年7%くらいなら、不動産なら現実的では?」と思いますよね。
私の物件の利回りも、すべて毎月の家賃から出ています。空室が出れば減り、入居者が決まれば戻り、給湯器が壊れれば修繕費が出ていきます。
家賃は、毎年同じ額が入るものではありません。それが大家の実感です。
利回りは約束できません。
だからこそ、年7%を何年も同じように払い続けられる不動産の商品には、説明が必要です。「どの物件の、どの家賃から払うのか」。この問いに実績で答えられない利回りは、家賃ではない何かに支えられています。

利回りを見たら、まず「その家賃は、いま本当に入っていますか?」と聞いてください。答えが返ってこなければ、それが答えです。
出資している人が今やること

まずは、手元の記録をそろえます。契約前に封筒で届いた書面、出資した日と金額、通帳に残っている分配金の入金を一覧にしておくと、返還を求める手続きや相談の場で、そのまま役に立つでしょう。
返還を求める集団訴訟では、大阪地裁が出資金の全額返還を命じる判決をすでに出しています。ただ、判決が出ても、会社に支払うお金がなければ回収は進みません。個別の手続きは、弁護士や消費者ホットライン(188)に、そろえた記録を持って相談してください。
利回りの高い商品を見たときの3つの確認点

見るのは3つだけです。今回のニュースから持ち帰れる確認点で、不動産クラウドファンディングやファンドを選ぶときにそのまま使えます。
- 利回りの元になる家賃を、実績で説明しているか:「想定」ではなく、実際に部屋が埋まっているか、家賃がいくら入っているかを示しているか
- 運営会社のお金の状態を公開しているか:決算が読めて、純資産がマイナスになっていないか
- 新しい募集が止まっても、分配が続く仕組みか:今の人への配当を、新しく集めた人のお金で払っていないか
不動産クラウドファンディングという仕組みそのものは、法律に沿った方法です。仕組みと税金の基本は不動産クラウドファンディングの解説に、実際の3社の比較はトモタク・FUNDROP・利回りくんの比較にまとめました。
みんなで大家さんのニュースに関するよくある質問

- Q出資したお金は返ってきますか?
- A
会社は、保有する資産の売却などで返還を進める方針を示しています。一方で、報道では現金残高は約9,241万円で、期日を過ぎた返還だけで約188億円あります。いつ、いくら戻るかは、今の時点では誰にも言い切れません。
- Q許可取消しで、会社はすぐになくなるのですか?
- A
新しい出資の募集はできなくなりますが、今ある契約の業務は、終わるまで続けると会社は発表しています。出資者との契約がすぐに消えるわけではありません。
- Qかぼちゃの馬車と同じ事件ですか?
- A
どちらも高い利回りの根拠を投資家が確かめられなかった点は同じです。ただ、かぼちゃの馬車は融資を受けて物件を買った人に借金が残り、みんなで大家さんは出資したお金の回収が問題になっています。違いはこちらの記事で解説しています。
まとめ|家賃で説明できない利回りにお金を出さない

- 2026年9月1日、大阪府と東京都が、運営会社と販売会社の事業許可を取り消した
- 行政は、分配の土台になる賃料が回収できていない事実を伏せて募集していたと認定した
- 出資している人は、書面と入出金の記録をそろえてから相談する
- 利回りの高い商品は、家賃の実績・会社の財務・新規募集への依存の3点を確かめる
利回りは、誰でも書けます。大事なのは、それがどの物件のどの家賃から出ているのか。これを自分で確かめられるようになることが、次の失敗を防ぐいちばんの方法です。
ファンドではなく、実物の物件を持つ投資も比べてみたい人は、都心の中古マンションを扱うJPリターンズの無料資料が手軽です。私も2026年5月に同社の面談を受けました(面談の記録はこちら)。
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