- 物件の資料をAIに読ませたら、悪くない物件だと言われた
- 営業の説明が正しいかどうか、AIに聞けば分かる気がする
- 本音を言えば、買う・買わないを自分で決める自信がない
住まい探しに生成AIを使う人が増えています。全宅連などの調査では、20代の53.4%が、住まい探しで生成AIを使ったと答えました。不動産投資でも、物件の資料をAIに読ませて、この物件は買いかどうかを聞く人が出てきています。
便利なのは間違いありません。ただ、物差しを持たないままAIに買っていいかを聞くと、AIの答えがそのまま自分の物差しになってしまいます。営業の出してきた条件をうのみにするのと、同じことが起きます。
結論から言うと、AIは物件の情報を整理する道具としては優秀ですが、買っていいかを決める物差しまでは持っていません。物差しは自分で先に決めて、AIはその物差しで物件を測るために使うのが正しい使い方です。
私は地方在住・大家歴13年の現役サラリーマン大家です。3棟38室を運営し、いま手元に残る税引前キャッシュフロー(家賃からローン返済や経費を引いて残るお金)は月30万円。これを5年間継続できています。最初の物件では、資料のどこにも書かれていなかった60万円の工事を、買った直後に払いました。
本文で紹介するのは、AIに聞く前に自分で決めておく3つの物差しです。3つを決めてからAIに資料を読ませれば、AIの答えに流されずに、買うか見送るかを自分で決められます。業者の資料が届くたびに迷って、何か月も決められない状態から抜け出せます。
物差しを作る前に、いま検討している物件が割高かどうかだけでも知っておきたい方は、先にプロの診断を受けておくと、AIの答えと比べる材料になります。
公式サイト:https://1roomtoshi-shindan.jp/
※ 診断は無料です
20代の半分が、住まい探しにAIを使っている

全宅連と全宅保証が、2026年7〜8月に20〜65歳の5,000人に聞いた調査(2026年 住宅居住白書)で、住まい探しで生成AIを使ったと答えた人は33.9%でした(SUUMOジャーナル)。20代は53.4%、30代は42.3%で、若い世代ほど多くなっています。
使い道で多かったのは、希望するエリアの情報を集めて比べること(11.3%)、不動産や契約の用語を調べること(9.6%)、間取りや設備の良い点・悪い点を整理すること(9.4%)です。どれも、情報を集めて整理する使い方です。
AIが得意なこと、分からないこと

AIが得意なのは、資料に書いてあることを読んで整理することです。表面利回りの計算、周りの家賃の目安、契約書に出てくる用語の説明。こうした作業は、人が調べるよりずっと早く終わります。
一方で、資料に書いていないことは、AIにも分かりません。
私の最初の物件がそうでした。200万円の学生向けワンルームを現金で買った直後、管理会社から、3点ユニットバスのままだと学生にも敬遠されると言われました。
結局60万円をかけてバスとトイレを分ける工事をして、表面14.7%だった利回りは、実質11%台まで下がりました。この工事が必要になることは、物件の資料のどこにも書かれていませんでした。
当時AIがあって資料を読ませていても、この60万円は出てこなかったはずです。AIは渡された資料をもとに答えるので、資料に載っていない修繕や、入居が決まりにくい理由までは拾えません。
もう1つ、AIに分からないのが売値です。買っていいかどうかは、家賃+売値-経費>買値の式で決まります。
この式の売値は、何年も先に売るときの値段です。未来の値段を言い当てられる人はいないので、AIにも分かりません。
AIの答えに、偽サイトが紛れ込む手口も出ている

もう1つ気をつけたいのが、AIの答えそのものに偽物が紛れ込む手口です。日本経済新聞は、生成AIの答えに偽サイトや詐欺サイトのリンクが紛れ込む例が多発していると報じました。犯罪グループが、本物によく似たサイトを検索の上位に出して、AIにそのサイトを読ませる手口です。
金融庁も、AI診断をうたってウェブサイトに誘い込み、SNSへ誘導して投資話を持ちかける手口に注意を呼びかけています。
AIが出してきた不動産会社の名前やリンクは、そのまま申し込まないでください。会社の公式サイトと、国土交通省の宅建業者の検索システムで、免許を持つ実在の会社かを確かめてから連絡するのが安全です。

AIに聞くこと自体は、悪いことではありません。スーパーで大根を選ぶときに迷わないのは、値ごろ感と鮮度の物差しを持っているからです。物件も、先に物差しを持っていれば、AIはとても便利な道具になります。
AIに聞く前に自分で決めておく3つの物差し

①いくらまでなら買うか
最初に決めるのは、自己資金と年収から見た、借りてもいい金額の上限です。上限を決めずに物件を見ると、あと少し出せば買える、が続いて、気づけば予算を超えています。
②何室空いたら赤字になるか
満室のときの家賃から、ローンの返済と経費を引いて、何室空いたら手残りがゼロになるかを計算しておきます。空室率が上がっても耐えられる物件かどうかを見る目安です。
③いくらで売れたら損をしないか
何年後に、いくらで売れたら、家賃で得たお金と合わせて損をしないかを決めておきます。式の売値の部分です。出口戦略を決めずに組んだ借金は、家賃が入っていても、売るときに損が出る悪い借金になりかねません。
3つを決めたら、AIに資料を読ませて、この物件の弱点を5つ挙げて、と聞いてみてください。AIに良し悪しを決めさせるのではなく、自分の物差しで測るための材料を出させる使い方です。
3つの物差しの決め方は、買う前に決めておくこと|自己資金・購入基準・撤退ラインで詳しく書いています。
まとめ|AIは道具。物差しは自分で持つ
- 住まい探しで生成AIを使った人は全体の33.9%、20代は53.4%(全宅連など)
- AIは資料の整理は得意。資料に書いていない修繕や、何年も先の売値は分からない
- AIの答えに偽サイトが紛れ込む手口も出ている。会社は公式サイトと国交省の検索で実在を確かめる
- AIに聞く前に、買値の上限・何室空いたら赤字か・いくらで売れたら損をしないか、の3つを決める
- AIには良し悪しを決めさせず、弱点を挙げさせて、自分の物差しで測る
物差しを持たずにAIに聞くのは、業者の言葉をうのみにするのと同じです。先に自分の物差しを決めて、AIはそれで物件を測るために使ってください。迷っている間にも、ローンを組める期間は短くなっていきます。
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