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買う前に決めておくこと|自己資金・購入基準・撤退ライン

物件情報サイトを見始めると、こんなところで止まりませんか。

  • 良さそうな物件を見つけても、自分に買えるのか分からない
  • エリアや価格帯をどう絞ればいいのか、判断の軸がない
  • 営業担当者と話すたびに、条件が向こうのペースで決まっていく

ところが、多くの人はここで「物件を探す」ことから始めてしまいます。基準を持たずに資料を見るので、良い提案をされるとその場で気持ちが動きます。

私は最初の物件で、これに近い失敗をしかけました。5,000万円の店舗物件に飛びついた後、方針を変えて200万円のワンルームを現金で買い、小さく始めて実務を覚えることにしています。鳥取に住みながら会社員を続けて13年、いまは3棟38室・借入2億円超です。

この記事の内容は明快です。物件を探す前に、自分側で決めておくべき3つのことを解説します。

読み終えるころには、業者に会う前に自分の基準を持てる状態になっています。

物件を探す前に決めるのは、使えるお金・買う条件・やめる条件の3つです。
基準がないまま物件を見ると、業者が出してきた条件が、そのまま自分の基準になります。

結論:物件を探す前に、自分側で3つを確定させます

順番を間違える人が多いので、結論から言うと、物件を見る前に次の3つを紙に書き出してください。

  • 使えるお金:頭金・諸費用・予備費として、いくらまで動かせるか
  • 買う条件:どのエリアで、どんな構造・築年・価格までなら検討するか
  • やめる条件:どうなったら撤退するか、買う前に決めておく

この3つがあれば、業者の提案を自分の基準に当てはめて判定できます。ないままだと、提案そのものが基準になってしまいます。

なぜ「良い物件を探す」から始めてはいけないのか

物件情報サイトを開く前に

「そんなの分かってる、早く物件が見たい」と思った方もいるはずです。気持ちは分かります。窓口で断られた苦い記憶があるからこそ、私も同じように急ぎたくなりました。

駅のホームで物件情報サイトを開き、通勤電車のなかで良さそうな部屋を見つける。そういう時間が楽しくなってくる時期です。だからこそ、ここで一度立ち止まってください。

「良い物件」という言葉には、実は主語がありません。駅から近い、新しい、利回りが高い。どれも事実ですが、あなたの自己資金や許容できるリスクと組み合わせて、初めて良し悪しが決まります。

先に物件を見ると、この組み合わせを後から考えることになります。写真や間取りに気持ちが動いた後で、自己資金と照らし合わせても、都合の良いほうへ基準を曲げてしまいがちです。

欲しくなってから基準を作ると、基準のほうが物件に合わせて動いてしまいます。基準は、まだ何も欲しくないうちに決めておくのが鉄則です。

だから、この記事で先に3つを決めます。物件情報サイトは、そのあとで構いません。

3つを決める前に、もう1つだけ確認してください。何のために不動産投資をするのか、その目的です。

補足

「月10万円の家賃収入」「10年後に2棟目」など、数字と時期で言葉にしておいてください。
目的があいまいだと、自己資金も購入基準も、決めるたびに揺らぎます。目的が先、3つはその後です。

1つ目|使えるお金を確定させる(頭金・諸費用・予備費)

自己資金は「頭金」だけで考えがちですが、3つに分けて考えてください。

項目目安ポイント
頭金物件価格の0〜2割程度入れるほど月々の返済は軽くなる
諸費用物件価格の6〜10%程度仲介手数料・登記費用・ローン手数料など
予備費最低でも物件価格の10%空室や修繕が重なった月に取り崩す分

この3つのうち、最も削られがちなのが予備費です。頭金と諸費用だけを見て「これだけあれば買える」と考えると、購入直後に手元資金がほぼゼロという状態で走り出すことになります。

補足

自己資金を、財布を3つに分けるようなものだと考えてください。1つ目の財布(頭金)と2つ目の財布(諸費用)を使い切っても、3つ目の財布(予備費)だけは、絶対に開けないと決めておきます。

予備費まで使い切った状態でフルローンを組むと、空室が1〜2か月続いただけで資金繰りが止まります。手元に残す金額を先に決めてから、頭金と諸費用に回せる額を逆算してください。

👉 不動産投資の自己資金はいくら必要かをもっと詳しく見る

2,000万円の物件で計算すると

数字で見ておきます。物件価格2,000万円の場合。目安はこうなります。

  • 頭金:0〜400万円
  • 諸費用:120〜200万円
  • 予備費:200万円以上

合計すると、自己資金として300万円から800万円ほどが目安になります。幅が広いのは、頭金をいくら入れるかで大きく変わるからです。

頭金を減らせば、その場で必要な現金は減ります。ただし月々の返済は増え、手残りは薄くなる。

どちらが正しいという話ではありません。自分の予備費をどこまで削れるかで決まります。

2つ目|買う条件を先に決める(エリア・構造・築年・価格の上限)

次に、どんな物件を検討の対象にするかを決めます。項目は4つで十分です。

  • エリア:土地勘があるか、賃貸需要があるかで絞る
  • 構造:木造・鉄骨・RCで、修繕の周期と融資期間が変わる
  • 築年数:古すぎると融資期間が短くなり、月々の返済が重くなる
  • 価格の上限:自己資金と返済比率から逆算した金額

4項目を先に紙に書いておきます。物件情報が届いた瞬間、検討する価値があるかを機械的に判定できます。

ここに注意

基準に当てはまらない物件は、写真を見ずに除外してください。「条件は外れているけど良さそうだから」と例外を作り始めると、基準を作った意味がなくなります。

👉 購入基準の作り方をもっと詳しく見る

3つ目|やめる条件を先に決める

買う前に、撤退する条件も決めておきましょう。順調なときには考えたくない話ですが、順調でなくなってから考えるのでは、もう遅い。

  • 手元資金がいくらを下回ったら、売却を検討するか
  • 空室が何か月続いたら、家賃を見直すか
  • 赤字が何か月続いたら、専門家に相談するか
ここに注意

注意点として、数字を決めるだけでは足りません。決めた数字を見返す日を、カレンダーに先に入れておいてください。

見返す仕組みがなければ、数字を決めたこと自体を忘れてしまいます。それだけの話で終わらせず、月に一度、家計簿を見る日にセットで確認する。ここまでやって、初めて撤退ラインは機能します。

数字を決めておけば、実際にその状況が来たときに感情ではなく基準で動けます。決めていないと、状況が悪化してからも「もう少し様子を見よう」を繰り返しがちです。

👉 撤退ラインを買う前に決めるをもっと詳しく見る

「言いにくい」を先に片づける

「まだ家族に話していない」という方もいるでしょう。正直、ここが一番気が重い工程です。夜、食卓で切り出すタイミングを何度も探した経験があります。

補足

数字を先に決めてから話す。順番はこれだけです。

家族の合意をどう取るか

3つを書いた紙を、そのままテーブルに置いてください。会話の型を1つ、紹介します。

補足

「不動産投資をやりたい」ではなく、「これだけ調べて、これだけ決めた」から入る。主語は自分の願望ではなく、すでに終わった検討作業にする。

たとえばこんな順番です。まず、使えるお金を見せる。次に、買う条件を見せる。

最後に、やめる条件を見せます。

「もし失敗したら?」と聞かれたら、答えはもう紙に書いてあります。

「この金額を下回ったら売る」。それだけ言えば十分です。

用意していない答えを、その場で考える必要はありません。

この3つが決まっていれば、家族への説明も具体的にできます。「不動産投資をやりたい」ではなく、「使えるお金はここまで、この条件の物件だけを検討し、この数字になったらやめる」という話であれば、伝わり方がまったく違います。

反対される理由の多くは、金額の大きさそのものより、「歯止めがどこにあるか分からない」ことへの不安です。

3つを書いた紙をそのまま見せるだけでも、説明の説得力は大きく変わります。

👉 家族に反対されたときの説明手順をもっと詳しく見る

3つが決まると、業者との会話が変わります

私が最初のワンルームを買ったのは、5,000万円の物件で断られた直後でした。今度は逆に、小さく始めることに決めています。

13年38室の実録

選んだのは、鳥取大学近くの学生向けワンルームでした。価格は約200万円、表面利回り14.7%。手持ち資金で現金一括で買える金額です。

「大きく張らず、まず一つ買って学ぶ」というのが、当時の自分なりの基準でした。

この基準があったおかげで、他の物件情報を見ても迷いませんでした。価格が桁違いに高い物件や、遠すぎて管理の見通しが立たない物件は、内容を読む前に候補から外せます。基準がなければ、1件ずつ悩んでいたはずです。

基準は、最初の1件を選ぶためだけのものではありません。2件目、3件目を検討するときも同じ基準を使い続けています。基準を先に紙に書き出し、物件を見るたびにそこへ照らし合わせてください。

基準を持って業者に会うと、会話の主導権が変わります。「予算はおいくらですか」と聞かれたときに、その場で考えるのではなく、決めてある数字を答えるだけになります。

担当者が基準に合わない物件を勧めてきたら、理由を説明する必要すらありません。「条件に合わないので」の一言で十分です。

電話口で押し切られる不安があるなら、先に紙を用意しておいてください。声が大きくても、数字は変わりません。基準に無い話は、無い話です。

しつこい営業電話が来たらどうしよう、と身構える必要はありません。基準に合わないと分かった時点で、断ればいいだけです。費用は一切かかりません。

今日、紙とペンでできること

用意するのは、紙とペンだけ。5分あれば足ります。

  • いま動かせるお金を、上から3つの財布に分けて書く
  • 買いたいエリアを、1つか2つに絞って書く
  • やめる基準を、金額でも期間でもいいので1行で書く

この紙が、これからの判断の物差しになります。

財布の話。エリアの話。撤退の話だけです。

次に読む記事

自分側の3つが決まったら、次は物件そのものの見方です。資料の数字をどう読めば、その物件が基準を満たすかどうかを判定できるのか。表面利回りに隠れている落とし穴から確認していきます。

👉 STEP2 物件をどう判定するか|数字で買う・買わないを決めるを読む

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