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築古アパートは新築に勝てる|家賃を下げず満室を保つ「ずらし」戦略

【STEP4】育てる

築古アパートを持っていると、近所により新しくてきれいな物件を見つけるたびに「うちはもう選ばれないんじゃないか」と不安になる瞬間があります。同じ家賃で並べられたら、誰だって新しいほうを選ぶ——そう感じますよね。

でも、13年間ずっと築古を中心に運営してきた私の結論を先に言います。新築と”同じ土俵”で戦うのが、そもそもの間違いです。スペック競争と家賃値下げ合戦は、築古が必ず負ける戦い。この記事では、その土俵から降りて、新築が絶対に真似できないフィールドで満室を保つ「ずらし戦略」を解説します。

築古が新築に「設備で勝とう」とした時点で負けです。勝てない土俵で戦わず、自分だけが勝てる土俵を選ぶ。これが13年やってきた私の答えです。

なぜ「新築と同じ土俵」で戦うと必ず負けるのか

入居希望者がポータルサイトで物件を並べて比較したとき、「同じ家賃・同じ広さ」なら、新築が選ばれます。これは当たり前で、覆せません。設備の新しさ・きれいさ・安心感で、築古が新築に真正面から勝つのは不可能です。

だから多くの築古オーナーが、唯一できる対抗策として「家賃を下げる」に走ります。でも、これが最悪の一手なのです。

最悪の一手——「家賃を下げる」がなぜ危険なのか

家賃の値下げが危険なのは、一度下げた家賃は、ほぼ二度と元に戻せないからです。しかも効果は一時的で、じり貧の値下げ合戦に巻き込まれます。

数字で見ると怖さが分かります。月5万円の家賃を4.5万円に下げると、年間で6万円の減収。10室なら年60万円が、契約が続く限り毎年消え続けます。空室1〜2ヶ月分を嫌って値下げした結果、それを何倍も上回る損失が固定化する——これが値下げの正体です。

「少し下げれば決まりますよ」は仲介の常套句です。ですが、下げた家賃は一生戻りません。目先の空室が怖くて、一生の減収を選ばないでください。

発想の転換——新築と築古は「別の客」を相手にしている

ここで視点を変えます。新築を選ぶ人と、築古を選ぶ人は、実は別の客です。新築を選ぶ人は「新しさ・設備・安心感」にお金を払う層で、少々高くても新築を選ぶ。その層を築古が奪い返そうとするから、負けるのです。

新築は「万人受け」を狙って作られています。だからこそ「誰にでも好かれる」代わりに「誰かに深く刺さる」ことができない。逆に築古は、ターゲットを絞れば「この物件じゃないとダメ」と思わせられる。問題は「近くに新しい物件が現れたこと」ではなく、自分の物件のターゲット設定が曖昧だったことなのです。

客層をこう整理すると、戦う相手が違うことが見えてきます。

項目新築が取る客層築古が取れる客層
重視するもの新しさ・設備・安心感家賃の安さ・広さ・自由度
払える家賃相場より高くてもOKとにかく安く抑えたい
刺さる訴求「きれい・最新」「この条件はここだけ」
新婚・単身の会社員ペット可・DIY可・広さ重視・学生

築古だからこそ持てる「4つの武器」でずらす

新築が取りこぼす層に深く刺されば、家賃を下げずに満室を保てます。築古が新築に対して持つ武器はこれです。

  • 家賃の安さ:同じエリアで「とにかく安く住みたい」層を確実に取れる。新築には出せない価格
  • 広さ・間取り:昔の物件は一部屋が広い。「新築の狭い1Kより、古くても広い1LDK」を求める層に刺さる
  • ペット可・DIY可などの自由度:新築は資産価値維持のため制約が多い。築古は「ペット可」「原状回復不要でDIY自由」に踏み込める
  • 立地の成熟:築古が建つ古い街は、生活利便施設が揃っていることが多い。新築の造成地にはない強み

ポイントは「あれもこれも」と欲張らず、1つの武器に振り切ること。「ペット可なら地域で一番」のように、狭くても一番を取れば、そこに需要が集まります。

築古の武器は「安さ・広さ・自由度」です。新築は逆立ちしても家賃は下げられませんし、ペット可にもしにくいものです。相手が絶対にできないことで勝負してください

それでも空室が埋まらないときは

ずらし戦略は「誰に貸すか」の話です。そのうえで、客付けの実務(エリア・設備・仲介の3軸)を整えると効果が最大化します。空室対策の体系的な進め方はこちらにまとめています。

不動産投資の空室対策と入居率改善方法【3軸アプローチ】満室経営の具体策
人口減少で客付けできるか、退去連絡に怯えていませんか?この記事では、空室率の全国データを示しつつ、私が実践している空室対策の3つの施策を具体的に公開します。

なお、新築競合ではなくその街の需要源(大学・工場など)そのものが細っている場合は、ずらしの方向性が変わります。地方エリアが衰退したときの生き残り方はこちらです。

地方の不動産投資は生き残れる?エリア衰退時の空室対策と撤退判断
地方の不動産投資は需要源が1つ消えると一気に詰みます。鳥取から松本・甲府・仙台の地方物件を回してきた経験から、エリア衰退のシグナル、Wi-Fi無料化や生活保護受け入れで生き残った実例、売却・撤退の判断基準を解説します。

そもそも「空室に強い築古」を買うための選び方・リスク管理はこちらで解説しています。

築古アパート投資のリスクと失敗しない選び方|チェックリスト10項目
築古アパートの高利回りは「リスクの価格」です。利回り10%に釣られ甲府で即決し、翌月5部屋が退去した実例から、築古の5大リスク、中古と新築の比較、購入前チェックリスト10項目で失敗しない選び方を解説します。

よくある質問

38室を経営する現役大家
Q家賃を下げずに、本当に新しい物件と競争できるのですか?
A

正面から競争する必要はありません。新築を選ぶ層と築古を選ぶ層は別だからです。「安さ・広さ・ペット可」など、新築が出せない条件で一番を取れば、家賃を下げなくても「この物件がいい」という人が現れます。競争ではなく”棲み分け”です。

Q築古の「武器」は、どれから手をつければいいですか?
A

自分の物件がすでに持っている強みを1つ選んで、そこに振り切るのが基本です。広い間取りなら「広さ推し」、駐車場があるなら「車必須エリアで台数確保」など。全部やろうとせず、狭くても地域で一番になれる武器を1つ磨いてください。

Qずらし戦略でも埋まらない築古は、売却すべきですか?
A

戦略を試しても改善しないなら、売却(撤退)も立派な判断です。ただし感情で「もったいない」と持ち続けて負動産にする前に、数字で判断を。売り時と撤退の考え方は地方エリア衰退時の生き残り記事で詳しく触れています。

まとめ——勝てない土俵から降り、自分だけの武器を磨け

  • 新築と同じ土俵(スペック・家賃)で戦えば築古は必ず負ける
  • 家賃の値下げは最悪手。下げた家賃は戻らず、減収が毎年固定化する
  • 新築と築古は別の客を相手にしている。ターゲットを絞れば戦わずに済む
  • 築古の武器=安さ・広さ・自由度(ペット可/DIY可)。1つに振り切って地域で一番を取る

隣に新しい物件ができても、恐れることはありません。あちらの客とこちらの客は違います。自分の武器を磨いて、それを欲しい人に真っすぐ届ければ、築古はちゃんと選ばれます。

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個別の対策を踏まえて、空室対策の全体像に戻って確認しましょう。

👉 不動産投資の空室対策と入居率改善方法【3軸アプローチ】38部屋大家が実践する満室経営の具体策を読む

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この記事を書いた人
タキ所長

タキ所長|サラリーマン大家(大家歴13年)

  • 2013年、36歳のときに区分ワンルーム(200万円)から開始。いまは3棟38室を運営中。
  • 手元に残る税引前キャッシュフローは月30万円を直近5年間継続中。
  • 家賃滞納の踏み倒し、入居者の孤独死、受水槽の全交換、買った翌月の一斉退去。さまざまなトラブルを経験。
  • 実際に経験した手痛い失敗と、未然に防ぐことができたトラブルについて書いています。
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