【13年・38部屋の実体験】物件資料の嘘を見抜け!レントロールの不自然な入居時期と家賃設定の”暴き方”

【STEP2】物件選びとローン

不動産投資の検討を始めると、業者からすぐに「レントロール(家賃表)」という資料が届きます。

ずらりと並ぶ部屋番号、入居日、家賃金額。一見すると「満室で安定している」ように見えます。しかしこの資料、実はいくらでも”演出”ができてしまうのです。

「資料上は満室なのに、購入翌月に5部屋が一気に空いた。」

これは架空の話ではありません。私自身が山梨県甲府市の物件で経験した、血の気が引くような実話です。当時は一斉退去の理由すら問い合わせる知識もなく、ただ管理会社に「早く埋めてください」と懇願するだけでした。後から冷静に振り返れば、あのレントロールにはいくつかの”不自然なサイン”があったのです。

この記事では、13年間・38部屋の遠隔管理を生き抜いてきた私が、レントロールのどこを見て「地雷物件」を見抜くのか、そのチェックポイントを具体的に公開します。

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • レントロールに隠された「3つの不自然なサイン」の見抜き方
  • 売主・業者がレントロールで「演出」できる具体的な手口
  • 私が実際に経験した「資料と現実のギャップ」のリアルな実録
  • 経験ゼロでも使える「レントロール チェックリスト」の考え方

不動産投資は「事業」です。業者が差し出す資料を無条件に信じることは、事業家として失格です。まず資料を疑うことから、本当の投資家としての目利きが始まります。

そもそもレントロール(家賃表)とは?最初に理解すべき基本

レントロールに記載されている情報の読み方

レントロールとは、一棟物件における全部屋の賃貸状況をまとめた一覧表です。一般的には以下の項目が記載されています。

項目内容
部屋番号101号室、102号室…など
契約者の属性個人・法人・空室の別
入居開始日いつからその賃借人が住んでいるか
月額賃料現在の家賃(管理費・共益費を含む場合も)
契約期間契約の満了時期
備考フリーレント・礼金・敷金など特記事項

これを見れば「今、この物件がどれだけ稼いでいるか」が一目でわかる、物件の財務諸表のような存在です。

なぜ売主・業者はレントロールで「演出」ができるのか

ここが重要です。レントロールは売主側が作成して提出する資料です。第三者機関が審査したものではありません。つまり、売主に有利な形で体裁を整えることが、制度上できてしまうのです。

具体的には、次のような「演出」が可能です。

  • 空室に一時的な知人・関係者を入居させ、満室に見せる(いわゆる”サクラ入居”)
  • 相場よりも高い家賃で空室を設定し、表面利回りを実態より高く見せる
  • 長期入居者を退去させず、購入後に一斉退去させる

「レントロール上の満室」と「本当の実力満室」は、まったく別物である可能性があります。これを知っているかどうかで、購入後の命運が大きく変わります。

レントロールに潜む「不自然のサイン」3つのチェックポイント

では実際に、どこを見れば「地雷」を嗅ぎ取れるのか。私が実務の中で体得した3つのチェックポイントを公開します。

【チェック①】全室の入居時期が不自然に揃っている

レントロールを開いて、まず「入居開始日」の列を縦に見てください。

自然な物件では、入居日はバラバラのはずです。人は各自の都合で引っ越しをするため、「201号室:3年前の4月」「202号室:1年前の9月」「203号室:半年前の2月」といったように、入居時期はランダムになります。

ところが怪しい物件では、こうなっていることがあります。

101号室:○年○月・102号室:○年○月・103号室:○年○月…(全室が同じ月)

全室またはほとんどの部屋の入居日が数ヶ月以内に集中している場合、それは強烈な警戒サインです。売却前に一時的に入居者を確保し、「満室物件」として売り抜けようとしている可能性があります。

確認アクション: 入居日が集中している場合は、「それ以前の入居率の実績」を書面で要求してください。答えられない、またはデータが出てこない場合は交渉を保留すべきです。

【チェック②】空室の家賃設定が、入居中の部屋より高い

これは私が実際に複数の物件資料で遭遇したパターンです。

レントロールを見ると、「空室」と書かれた部屋の設定家賃が、現在入居中の同タイプの部屋より2割ほど高く設定されていることがあります。

なぜこんなことが起きるのか。それは「表面利回り」の計算式にあります。

表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

空室の「想定家賃」を高く設定すれば、分子(年間家賃収入)が増え、見かけ上の利回りが上がります。実際には一度もその家賃で入居者がついたことがないのに、まるで「その家賃が相場」であるかのように見せることができるのです。

確認アクション: 空室部屋の設定家賃を、必ずSUUMOやathomeなどで周辺の実際の募集家賃と比較してください。乖離が10%を超えるようであれば、その家賃での入居は期待できないと考えるべきです。

【チェック③】店舗・事業用区画の家賃が異常に高く、かつ長期空室

これは私が甲府市の物件で実際に経験した、最も痛烈な教訓です。

その物件は「1階店舗付き・18部屋」という構成で、レントロール上の店舗の想定家賃は6〜7万円に設定されていました。業者からは「1年の空室保証付き、コロナ明けれどもすぐ決まりますよ」と言われ、私はその言葉を信じて購入を決めました。

しかし現実は違いました。実際に店舗が決まったのは購入から5年以上後、しかも家賃は想定の半額以下の3万円。その間、物件周辺の環境をよく調べれば、そもそも「この立地で店舗需要があるか」という疑問が浮かぶはずでした。

店舗・事業用区画は住居と異なり、「立地の商業適性」がなければ何年待っても埋まりません。業者の「すぐ決まる」という言葉は話半分どころか、4分の1で聞いてください。

確認アクション: 店舗区画がある物件は、その物件の半径500m以内の商業施設・人流・競合店舗を必ず現地または地図で確認し、「本当にここで商売が成り立つか」を自分の目で判断してください。

ここまで読んでいただいた方は、「では実際に怪しい資料を見た瞬間、どう感じて、どう判断するのか」が気になるのではないでしょうか。次のセクションでは、私が実際に体験した「一斉退去という悪夢」と、そこから得た”資料の読み方”の変化を赤裸々にお伝えします。

私が「地雷物件」を見抜けなかった日【甲府市・実体験】

「購入翌月に5部屋が一斉退去」という悪夢

2億円の負債を抱えながら遠隔管理を続けてきた私でも、「やられた」と気づいたのが購入後だったという経験があります。

山梨県甲府市の5階建てマンション、18部屋+1店舗。表面利回りは10%超え。甲府駅から徒歩15分。見た目もおしゃれで、レントロール上はほぼ満室。業者からの説明も淀みなく、私は「これは良い物件だ」と確信し、8,900万円でスルガ銀行のフルローンを引いて購入しました。

購入翌月のことです。

管理会社から連絡が入りました。「〇〇号室が退去します」「△△号室も退去の連絡が来ました」「□□号室も…」。それが立て続けに続き、気づけばわずか1〜2ヶ月の間に5部屋が一斉に空きました。

鳥取の自宅で報告を受けながら、私は文字通り血の気が引く感覚を覚えました。

なぜこのタイミングで? これは偶然なのか? それとも…?

今となっては真相はわかりません。ただ冷静に考えれば、「購入のタイミングだけ一時的に入居してもらっていた可能性」は十分にあります。当時の私にはそれを問いただす知識も術もなく、ただ管理会社に「早く埋めてください、お願いします」と懇願するだけでした。

結果、それまで4〜5万円で設定されていた家賃を、2万円台後半〜3万円まで値下げしてようやく次の繁忙期(2〜3月)に埋めることができました。この家賃の下落だけで、物件全体の利回りは当初の計算から大幅に乖離しました。

サバイバー大家の「面感覚」はこうして養われた

この経験の後、私は資料の見方を根本から変えました。

数字を「読む」のではなく、数字を「疑う」ようになったのです。

具体的には、レントロールを受け取った瞬間にまず見るのは「利回り」でも「家賃総額」でもありません。「入居日の分布」と「空室の家賃設定」です。

  • 入居日が特定の時期に集中していないか
  • 空室の設定家賃が、入居中の同タイプ部屋より高くないか
  • 店舗・事業用区画の想定家賃が、周辺環境に対して現実的か

これらは、経験を積まなくても事前にチェックリスト化しておけば誰でも確認できることです。私は多くの失敗と修羅場を経てこの感覚を身につけましたが、あなたにはその回り道をしてほしくありません。

重要なのは「違和感を感じたら、その場で流さないこと」です。業者のペースに乗せられ、「細かいことを聞くと嫌われるかも」という萎縮した心理が、最大の敵です。

ここで、中古アパートのリスク全体像をより深く理解したい方に向けて、親記事をご紹介します。レントロールの読み方はあくまでも「入口」に過ぎません。修繕リスク、空室リスク、出口(売却)戦略まで含めた中古アパート投資の注意点を体系的にまとめた記事が、以下です。この記事と合わせて読むことで、「買う前に確認すべきこと」の全体地図が手に入ります。

【内部リンク挿入:親記事「【注意点総まとめ】中古アパート不動産投資で失敗しない選び方」】

レントロールだけでは不十分!現地調査と組み合わせて初めて「全体像」が見える

書類だけで判断することの限界

レントロールのチェックポイントをマスターしても、資料だけでは絶対に見えないリスクがあります。

それは「建物の物理的な状態」です。

私が甲府市の物件で経験したのは、購入後に発覚した水道貯水タンクの亀裂による緊急工事・約200万円です。目の前が真っ暗になりました。管理会社に頼み込み、家賃相殺で約1年かけてなんとか支払いましたが、このリスクは事前のインスペクション(建物診断)で発見できた可能性があります。

松本市の物件でも同様に、地面から水があふれるトラブルが発生し、水道タンクの全とっかえで150万円がかかりました。これも購入前に見抜けていれば、価格交渉の材料になっていたはずです。

中古物件は「レントロールで収益を確認し、インスペクションで建物を確認する」この両輪が揃って初めて、まともな投資判断ができます。どちらか一方だけでは片目をつぶって高速道路を運転するようなものです。

インスペクションで確認すべき具体的なポイント

現地調査・インスペクションで必ず確認したい項目は以下の通りです。

【外部確認】

  • 外壁のひび割れ・塗装の剥がれ・雨染みの有無
  • 屋根・ひさし・雨どいの破損状況(私の松本物件では強風でひさしが壊れました)
  • 給排水管・貯水タンクの状態(これが最大の爆弾になりえます)

【内部確認】

  • 各部屋のドア・窓・サッシの開閉状態
  • 浴室・トイレ・台所の設備年数と状態
  • 共用部(廊下・階段・エントランス)の管理状態

【管理状態の確認】

  • 管理会社の対応スピードと入居者との関係性
  • 過去の修繕履歴(いつ・何を・いくらで直したか)の書面確認
  • 大規模修繕の予定と積立状況

これらを丁寧に確認することで、「レントロール上は優良物件に見えるが、建物はボロボロ」という最悪のパターンを防ぐことができます。

中古の限界を知った上で「新築」という選択肢を持つ

ここまで読んでいただければ、中古物件には「書類の演出リスク」と「建物の物理的リスク」という2つの大きな壁があることがおわかりいただけたと思います。

私自身、これだけ中古物件で苦労を重ねた末に購入したのが、仙台市のシノケンによる新築一棟アパートでした。結果として、13年間の投資歴の中で「最も安定している物件」がこの新築物件です。

もちろん新築にも「割高」「利回りが低い」という課題はあります。しかし、レントロールの演出リスクがなく、建物の状態が明確で、管理体制が整っているという点で、サラリーマン投資家にとって現実的な選択肢のひとつであることは間違いありません。

中古で苦労してきた私が、なぜ最終的に新築に辿り着いたのか。その理由と、新築アパート投資の本当のメリット・デメリットを正直に解説した記事が以下です。「中古か新築か」で迷っている方は、ぜひ読み比べてみてください。

【内部リンク挿入:ID6「新築アパート投資メリット」】

よくある質問|レントロール チェックポイントに関するQ&A

Q
レントロールの入居日が集中していた場合、業者にどう確認を取ればいいですか?角が立たない聞き方はありますか?
A

角を立てることを恐れる必要はありません。むしろ、正当な質問に対して答えを濁す業者こそ、警戒すべき相手です。

具体的には以下のように聞いてみてください。

「入居日が○月前後に集中しているようですが、それ以前の入居率の推移がわかる資料はありますか?過去2〜3年分の入居率の実績を書面でいただけますか?」

この質問に対してスムーズに資料を出せる業者は、後ろめたいことがない業者です。「そういったデータは持っていない」「売主に確認が必要」などと時間を稼ぐようであれば、その時間稼ぎ自体が答えだと思ってください。

データが出てこない物件は、購

Q
空室の設定家賃が相場より高いかどうか、素人でも確認できますか?
A

はい、今の時代はスマートフォン一つで十分確認できます。

確認手順はシンプルです。

  1. SUUMOまたはathomeを開く
  2. 対象物件と同じエリア・同じ間取り・同じ築年数帯で検索する
  3. 現在募集中の家賃の相場感を掴む
  4. レントロールの空室設定家賃と比較する

乖離の目安として、設定家賃が周辺相場より10%以上高い場合は要注意、20%以上高い場合は論外です。その家賃での入居は、まず期待できないと考えて収支計算をやり直してください。

また、確認の際は「現在募集中の物件」だけでなく「成約事例」も参考にできると理想的です。不動産会社に依頼すれば、レインズ(不動産流通機構)の成約データを見せてもらえる場合もあります。遠慮せず依頼してみてくださ

Q
インスペクション(建物診断)はどのタイミングで依頼すればよいですか?費用はどれくらいかかりますか?
A

インスペクションは、「買付申込書を出した後・売買契約を締結する前」のタイミングで依頼するのが基本です。

買付申込書を出した段階で売主に対して「インスペクションを実施したい」と伝え、内覧と調査の機会を設けてもらいます。契約後に実施しても「契約解除の根拠」として使いにくくなるため、必ず契約前に完了させてください。

費用の目安は以下の通りです。

物件規模インスペクション費用の目安
区分マンション(1室)3万〜5万円程度
小規模一棟(10室以下)10万〜20万円程度
中規模一棟(10〜20室)20万〜40万円程度

「インスペクション費用がもったいない」と感じる方もいますが、私が甲府市・松本市で経験した水道タンクの緊急工事費用(合計350万円以上)と比べれば、20万円の調査費用は圧倒的に安い保険です。買う前に払う数十万円を惜しんで、買った後に数百万円を失わないでください。

まとめ|数字の裏にある「人間の図示」を読み解け

この記事でお伝えしたことを、最後に整理します。

この記事の3つの結論

結論①:レントロールは「作られた資料」である可能性を常に疑え

レントロールは売主側が作成する資料です。第三者の審査を経ていない以上、意図的な「演出」が加えられている可能性があります。資料を受け取った瞬間から、「この数字は本物か」という疑いの目を持つことが、投資家としての出発点です。

結論②:見るべき3つのポイントは、今日から実践できる

  • 入居日の分布が不自然に集中していないか
  • 空室の設定家賃が周辺相場と乖離していないか
  • 店舗・事業用区画の想定家賃が現地の商業環境に対して現実的か

これらはチェックリストとして事前に準備しておけば、経験ゼロのサラリーマン投資家でも今すぐ実践できます。

結論③:レントロールとインスペクションは「両輪」である

書類で収益を確認し、現地調査で建物を確認する。この2つが揃って初めて、まともな投資判断ができます。どちらか一方を省略することは、取り返しのつかないリスクを抱えたまま数千万円の決断をすることを意味します。

最後に:私が13年かけて学んだこと

私は13年間、38部屋、2億円の負債を抱えながら、鳥取から仙台・甲府・松本を遠隔で管理し続けてきました。

甲府市で購入翌月に5部屋が一斉に空き、真っ青になりながら管理会社に電話をかけ続けた夜。150万円・200万円の緊急修繕費用を前に、スルガ銀行に元金返済の一時停止を懇願した日。それらすべての経験は、今この記事を読んでいるあなたに「同じ失敗をしないでほしい」という一心で書かせていただいています。

不動産投資は「事業」です。業者の持ってくる資料を笑顔で受け取りながら、その裏側を冷静に読み解く力こそが、サラリーマン投資家が生き残るための最大の武器です。

次のステップへ:中古アパート投資の注意点を体系的に学ぶ

レントロールの読み方を理解したあなたの次のステップは、「中古アパート投資における注意点の全体像」を把握することです。修繕リスク・空室リスク・融資戦略・出口(売却)戦略まで、私の13年間の実体験をもとに体系化した総まとめ記事を以下に用意しています。

「一つの記事を読んで終わり」にせず、ぜひ全体の地図を手に入れてください。

【内部リンク挿入:親記事「【注意点総まとめ】中古アパート不動産投資で失敗しない選び方」】

また、記事には書けない個別の物件相談・数字の検証・チェックリストの共有は、以下のLINE公式アカウントで随時受け付けています。「資料を見てほしい」「この物件どう思いますか?」という相談も大歓迎です。13年間の修羅場から生まれたリアルな視点で、一緒に考えます。

【LINE公式アカウント登録バナー挿入】

「買う前に気づく」か「買った後に気づく」か。その差が、あなたの10年を決めます。

どうか、この記事がその「気づき」の一助になりますように。

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