2億円の負債と13年戦う男の告白。私が不動産投資を「不労所得」と呼ばない理由

【STEP1】投資の基礎と準備

「不動産投資で不労所得を得る」——書店に並ぶ本の帯や、SNSの広告で、あなたも一度はこのフレーズを目にしたことがあるはずです。

では、現実はどうでしょうか。

不動産投資をはじめて13年。現在38部屋・2億円の負債を抱える私が、最初に伝えたいことがあります。

「不動産投資は、不労所得ではありません。これは、事業です。」

この一言に反発を感じた方こそ、ぜひ最後まで読んでください。私はあなたに不動産投資を諦めてほしいわけではありません。むしろ逆です。正しい認識を持って参入した人だけが、長期にわたって生き残れる——それをこの記事で、13年分の失敗と経験を通してお伝えしたいのです。

この記事を読み終わる頃には、「不動産投資の現実」と「それでも取り組む価値がある理由」の両方が、腹落ちするはずです。

始まりは「金持ち父さん」と無謀な5,000万円店舗物件

36歳、年収650万円のサラリーマンが「気づいて」しまった

2013年、私は36歳のごく普通のサラリーマンでした。年収は600〜700万円。生活に困っているわけではない。でも、「このまま定年まで会社に給与を依存し続けていいのか」という漠然とした不安が、頭の片隅にずっとありました。

そんなときに手に取ったのが、あの有名な一冊——「金持ち父さん貧乏父さん」です。

読み終えた夜、私は興奮冷めやらぬまま不動産投資ポータルサイト「楽待」を開きました。今思えば、典型的な”入口”です。おそらくこのブログを読んでいるあなたも、似たような経緯をたどっているのではないでしょうか。

最初の行動は「5,000万円の店舗物件への突撃」だった

楽待をスクロールしながら目に留まったのが、鳥取駅前のアーケード内にある商業用店舗物件、価格5,000万円。

当時の私の貯蓄や属性で、その物件に融資が下りるはずなどありません。しかし不思議なことに、「いける気がした」のです。金持ち父さんを読んだ直後の高揚感というのは、そういうものです。

私は地元の不動産会社に連絡を取り、社長に直接相談しました。結果は一言。

「銀行融資は無理です。」

今でもその社長とは交流が続いています。あのとき冷静に諭してもらったことを、私は今でも感謝しています。最初の無謀な突撃が「失敗」で終わったことは、振り返れば最大の幸運でした。

初物件は「200万円・現金一括」の原点回帰

店舗物件を断念した私が選んだのは、正反対のアプローチでした。

鳥取大学の学生向けワンルームマンション。価格は約200万円、表面利回り14.7%。手持ち資金で現金一括購入できる物件です。

「大きく張らず、まず一つ買って学ぶ」——これが、13年後の今も私が初心者にすすめる最初の一手です。

ただし、この”小さな一歩”にも、すぐに洗礼が待っていました。

初物件の洗礼。ユニットバス分離工事(60万円)と遠隔管理の壁

購入直後に発覚した「入居付けできない」問題

200万円の物件を買った直後、管理会社から告げられた一言が頭に刺さりました。

「この部屋、3点ユニットバスのままだと学生にも敬遠されますよ。」

3点ユニットバスとは、トイレ・洗面台・浴槽が一室にまとまった旧式の設備です。現代の入居者、特に大学生には非常に不人気で、空室の長期化に直結します。

対策は一つ。セパレート化工事——つまりトイレとバスを分離する大規模リフォームです。

費用:約60万円。

物件価格200万円に対して、購入直後に60万円の追加出費。表面利回り10%の計算は、あっという間に崩れました。「表面利回り」は、現実のコストを一切反映していない数字です。この洗礼を最初に受けられたことは、今となっては貴重な授業料でした。

「不労所得感」があったのは、この頃だけだった

正直に言います。この最初の2部屋(ローンなし・現金購入)の時期は、それなりに「不労所得感」がありました。毎月、口座に家賃が振り込まれてくる。管理は管理会社に任せている。手間はほとんどない。

ただ、そこで同時にある疑問も浮かびました。

「これだけのリターンなら、株の配当でも同じじゃないか?」

不動産を「事業」として本格的に捉えるきっかけは、もう少し後——松本市で1棟アパートを買った瞬間に訪れます。それについては第4章で詳しくお話しします。

遠隔管理という「見えないコスト」

鳥取在住の私が、なぜ仙台・松本・甲府に物件を持つのか。それは単純に、そのエリアに「買うべき数字の物件」があったからです。居住地と投資エリアを一致させる必要はない——これは経験から得た確信です。

しかし遠隔管理には、距離というコストがあります。

現地に飛んで行けない分、管理会社との信頼関係の構築・細かな指示出し・緊急時の判断が、すべてリモートで完結しなければなりません。管理会社に100%委託しているとはいえ、最終的な意思決定者はオーナーである自分です。これは「働かなくていい」とは、明らかに違う話です。

地震・台風・固定資産税。キャッシュを奪う脅威と私の「防衛策」

不動産投資のキャッシュフローを奪う「3つの脅威」

家賃収入が毎月入ってくる。それは事実です。しかしその一方で、不動産オーナーには「突然やってくる出費」と「じわじわ削られる出費」の両方が常に存在します。13年間で私が実際に直面した脅威を、包み隠さずお伝えします。

脅威①:自然災害(地震・台風)

遠隔地に物件を持つということは、自分が現地にいない状態で災害が起きるということです。

ある年、保有物件で地震によるクラック(外壁のひび割れ)が発生しました。また別の機会には、台風でガラスが割れました。いずれも管理会社からの一報で初めて知る——それが遠隔管理の現実です。

「大丈夫だろう」という楽観は、不動産事業においては最大のリスクです。

私の防衛策は明確です。火災保険・地震保険をフル活用すること。 上記のクラックもガラス割れも、保険申請によって実費負担をほぼゼロに抑えることができました。保険は「万一のお守り」ではなく、不動産事業における経営インフラだと私は位置づけています。加入内容を定期的に見直すことも、オーナーの重要な仕事の一つです。

脅威②:突発的な空室の連鎖

13年間で「これが一番きつかった」と今でも思うのが、甲府市の物件を購入してわずか1ヶ月後に起きた出来事です。

5室が一気に空きました。

購入前のデューデリジェンス(物件調査)では想定していなかった退去が、まとめて発生したのです。毎月入るはずだった家賃収入が、一瞬にして計算上から消えました。ローンの返済は待ってくれません。管理会社と連携しながら入居付けに奔走したあの時期は、「不動産投資は事業だ」という認識を、頭ではなく内臓で理解した期間でした。

「買った瞬間が終わりではなく、買った瞬間から事業が始まる」——これがその体験から得た教訓です。

脅威③:固定資産税(最も地味で、最も確実な敵)

派手な災害や空室と違い、毎年確実にやってくるのが固定資産税です。38部屋・複数エリアにわたる物件を持つと、この金額は決して小さくありません。私はこれをキャッシュフローの最大の敵と呼んでいます。

私が実践する「確定申告×税金還付」の防衛策

固定資産税への私の対応策は、税金で税金を相殺する構造を作ることです。

具体的には、サラリーマン給与と不動産所得を合算した確定申告で、意図的に大赤字を計上します。 減価償却費・修繕費・管理費・保険料・ローン利息など、不動産事業で計上できる経費は多岐にわたります。これらを適切に処理することで、給与所得との損益通算が成立し、数十万円規模の税金還付を受けることができます。

ただし、これは節税の「抜け穴」ではありません。正当な税務処理です。しかし知っているかどうかで、手元に残るキャッシュは大きく変わります。

還付された税金は、そのまま固定資産税の支払いに充当する——この仕組みを作ってからは、固定資産税に対する心理的な重圧が明らかに減りました。不動産投資は、税務の知識なしには語れません。 これもまた、「事業」である証拠です。

2億円の負債と38部屋の統治。私が不動産投資を「不労所得」と呼ばない理由

「2億円の借金」に恐怖はなかった。でも驚きはあった。

現在、私の負債残高は約2億円です。

この数字を人に話すと、たいてい二つの反応に分かれます。「すごい度胸ですね」か、「怖くないんですか?」か。

正直に言います。恐怖は、ありませんでした。

理由はシンプルです。2億円は一度に返さなければならない借金ではないからです。毎月の返済額に対して、毎月の家賃収入がキャッシュフロープラスで回っているかどうか——不動産投資においてチェックすべき数字は、残高ではなくフローです。

ただ、別の意味での驚きはありました。

「自分の属性で、2億円も借りられるのか」という驚きです。

サラリーマンとしての信用力は、不動産投資において強力な武器になります。これは、会社員という立場を活かした数少ない優位性の一つです。しかしだからこそ、その信用力を使って「買ってはいけない物件」を買ってしまうリスクも、同時に高まります。融資が通るかどうかと、買っていい物件かどうかは、まったく別の話です。

松本の1棟アパートが「不労所得という幻想」を終わらせた

ワンルーム2部屋の現金購入時代、正直なところ「不労所得感」はありました。口座に振り込まれる家賃を眺めながら、「これはうまくいくかもしれない」と思っていました。

転機は、松本市で1棟アパート(10部屋)を購入したときです。

管理会社からの連絡が、明らかに増えました。「○号室の入居者から水回りの不具合の申告があります」「退去後のリフォーム、どの範囲でやりますか」「近隣物件の家賃が下がっています。賃料設定を見直しますか」——年に何度も、判断を迫られる場面が訪れます。

これらの判断を間違えれば、空室が長引き、資産価値が下がり、キャッシュフローが悪化します。意思決定の質が、収益に直結する。 これはどう見ても、事業です。

ただ、私にはここで一つ、正直に付け加えたいことがあります。

「不動産事業が好きか嫌いか」と問われれば、嫌いではありません。

面倒な判断が続く局面でも、物件が安定稼働に向かっていく過程に、どこか達成感を覚える自分がいます。「事業である」という認識は、諦めや妥協ではなく、この仕事の本質を正確に捉えた言葉だと思っています。

それでも私が不動産投資を続ける理由

不労所得ではない。手間もかかる。リスクもある。それでも13年間続けてきた理由は何か。

一つは、レバレッジの非対称性です。自己資金だけでは絶対に買えない規模の資産を、銀行融資を活用することで手に入れ、その資産が生み出すキャッシュフローで返済していく構造は、株式投資や他の副業では簡単に再現できません。

もう一つは、事業としての「改善余地」があることです。空室が出れば対策を打てる。設備が古ければリフォームで競争力を取り戻せる。数字が読めて、打ち手が存在する——これが不動産を「事業」と呼ぶ最大の理由であり、私が面白さを感じる部分でもあります。

不動産投資は、正しく理解して、正しく取り組めば、サラリーマンが持てる最強の「副業事業」になり得ます。 ただしそれは、キラキラした「不労所得」の話ではありません。

読者の皆様へ。「出口」なき投資で死なないためのラボ活用法

不動産会社の営業トークに、なぜ不安を感じるのか

このブログを読んでいるあなたは、おそらくこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

不動産会社のセミナーに参加したり、営業担当者と話したりしたとき、「なんとなく腑に落ちない」「言っていることは分かるけど、信じていいのか分からない」という感覚を覚えたことが。

その感覚は、正しいです。

不動産会社の営業担当者は、物件を売ることが仕事です。それ自体は何も悪くありません。しかし彼らの利益と、あなたの利益が完全に一致しているかといえば、必ずしもそうではありません。 表面利回りを強調し、出口(売却)の話をしない。融資が通ることと、買っていい物件であることを混同させる。そういったトークが横行しているのも、現実です。

「知識武装」こそが、あなたを守る唯一の盾です。

このブログ「サラリーマン不動産事業ラボ」は、そのための場所として運営します。

このラボで提供すること

私がこのブログを通じてお伝えするのは、セミナー講師や不動産会社が語らない、現役オーナーの実務レベルの情報です。

具体的には以下のテーマを中心に、順次記事を公開していきます。

物件の数字の読み方(表面利回りではなく実質利回り・CCRで判断する)、融資戦略(サラリーマン属性の活かし方と限界)、管理会社との付き合い方(遠隔管理を成立させる仕組み)、保険・税務・確定申告の実践(知っているだけで数十万円変わる話)、そして「出口戦略」(売却を前提とした物件選びの基準)。

「買うこと」だけを目的にした情報は、ここでは発信しません。買った後も、売るときも、生き残れる大家を目指す方のためのラボです。

「出口」を考えない投資は、いずれ詰む

最後に、一つだけ強く伝えさせてください。

不動産投資において、「出口(売却)」を考えずに物件を買うことは、最も危険な行為の一つです。

キャッシュフローが出ていても、売却時に大きく値が下がれば、トータルでマイナスになります。逆に言えば、売却時に適正価格で売れる物件を最初から選んでいれば、たとえ途中で想定外の出来事が起きても、撤退という選択肢が残ります。

撤退できることは、弱さではありません。出口を持つことは、事業継続のための最大のリスクヘッジです。

副業で月10万円のキャッシュフローを得ながら、いざとなれば売却できる物件を持つ——その水準を目指す方と、このラボで一緒に考えていきたいと思っています。

Q&Aセクション:読者からよくある質問

Q
サラリーマンのまま不動産投資を始めるメリットは何ですか?
A

最大のメリットは、銀行融資における信用力です。毎月安定した給与収入があるサラリーマンは、金融機関から見て「返済能力がある借り手」と評価されやすい。この属性を活かして融資を引き、その資金で資産を取得し、家賃収入で返済していく構造が、サラリーマン大家の基本戦略です。ただし融資が通ることと、その物件を買うべきかどうかは別問題です。属性の強さに油断せず、数字で判断する習慣を持ってください。

Q
最初の物件は、いくらくらいの規模から始めるべきですか?
A

私自身の最初の物件は約200万円の現金購入でした。これは極端な例ですが、「失敗しても致命傷にならない規模から始める」という原則は今も変わりません。 初めての融資付き物件であれば、自己資金・返済比率・キャッシュフローのシミュレーションを徹底的に行った上で、仮に空室が数ヶ月続いても手元資金が枯渇しない規模を選ぶことが鉄則です。「買える規模」と「買うべき規模」は、必ずしも一致しません。

Q
管理会社に全部お任せすれば、本当に手間はかからないのですか?
A

「判断をお任せ」することはできません。 管理会社は現場の窓口を担ってくれますが、修繕するかどうか・賃料を下げるかどうか・リフォームの範囲をどこまでにするか——こうした意思決定は、最終的にすべてオーナーの仕事です。私自身、初めての1棟アパートである松本市の物件を購入してから、管理会社からの問い合わせ・相談・報告が年に何度もあり、「これは完全に事業だ」と実感しました。管理会社は「優秀なパートナー」であり、「全自動の装置」ではありません。

まとめ:次の一手は「知識武装」から始めてください

【画像生成指示:階段を一段ずつ登るビジネスマン、各ステップに「知識」「判断」「実行」と書かれた、青と白を基調とする清潔感のあるビジネス風イラスト】

この記事でお伝えしたかったことを、最後に三つにまとめます。

一つ目。不動産投資は「不労所得」ではなく「事業」です。 この認識を持てるかどうかが、長期で生き残れるオーナーと、途中で詰んでしまうオーナーの分岐点です。

二つ目。リスクは、知っていれば対処できます。 自然災害には保険を。空室には入居付け戦略を。税負担には確定申告の知識を。「怖いから手を出さない」ではなく、「怖いから正しく学ぶ」という姿勢が、事業家としての出発点です。

三つ目。「出口」を持つ物件だけを買ってください。 売却を前提として物件を選ぶ習慣が、あなたの投資を長期にわたって守ります。

今すぐできる「次の一手」

まずは数字を自分で動かせるようになることが、知識武装の第一歩です。

このブログが、あなたの不動産事業の羅針盤になることを願っています。

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